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Vol.3 老化にあらがう方法論 -老化も遺伝子発現の変化によっておこる:その②-

【ミトコンドリア減少のメカニズム】
細胞が栄養素から効率的にエネルギーを取り出す際に必須であるミトコンドリアは、加齢に伴って数が減ってしまうことが知られています。
細胞の中では、古いミトコンドリアはどんどん壊されている一方で、新しいミトコンドリアが次々に作られており、常に新陳代謝がおこっています。
加齢に伴うミトコンドリアの減少は、ミトコンドリアの分解と合成のバランスがずれて、若いときと比較して分解優位側にシフトしてくるために起こると考えられています。

【サーチュインの働きによる遺伝子発現活性化】
新しいミトコンドリアの合成を充分に行うことができれば、加齢に伴うミトコンドリアの減少を抑制でき、栄養素からエネルギーを効率的に取り出すことができるようになります。

前回お話ししましたとおり、ミトコンドリアは数100種類の様々なタンパク質を部品として作られています。身体が年齢を重ねてきても、部品タンパク質の設計図自体は「遺伝子DNA」に記録されて細胞の中に保たれています。
たくさんのミトコンドリアを作るためには、ミトコンドリアの部品タンパク質の合成をアップすること、つまり部品タンパク質の遺伝子発現を活性化することが必要です。

サーチュインの働きによる遺伝子発現活性化
ヒトの細胞の中にあるいろいろな種類のタンパク質のなかには、他のタンパク質の遺伝子発現を活性化する働きを持つものもたくさんあります。例えば、SIRT(サート)という名前に1~7までの番号をつけられた7つのタンパク質(SIRT1 ~ SIRT7)があり、これらはしばしばSirtuin(サーチュイン)として一纏めに呼ばれることがあります。

サーチュインが細胞の中で働くことによって、老化現象が抑えられる証拠がつぎつぎに明らかになってきています。そのため、サーチュインの遺伝子DNAは俗に「長寿遺伝子」とも呼ばれています。サーチュインの働きによって様々なタンパク質の遺伝子発現が活性化され、その中にはミトコンドリアの部品タンパク質の遺伝子も含まれています。

したがって、サーチュインの働きを適切に保つことは、老化に伴うミトコンドリアの減少とエネルギー不足を解消して、老化にあらがう方法論のひとつになり得るのです。

▼前回のコラムはこちら
老化にあらがう方法論 -老化も遺伝子発現の変化によっておこる:その①-

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