Vol.2 老化を測るものさし-テロメアとは-
【テロメアとは】
生物はそれぞれの遺伝情報をDNAに記録し、そのDNAを正確に複製することにより、自らのアイデンティティーを確保しながら子孫を繁栄させています。生物の個体としても、成長などの過程を通して常にDNAを正確に複製して細胞を分裂させるため、細胞は正常に機能することが可能になります。ヒトの場合、大切な遺伝情報を記録したDNAをタンパク質との複合体である染色体という構造体として保存しており、その数は、父親と母親から23本ずつ、計46本です。そして、染色体の特に損傷しやすい末端部分を保護しているのがテロメアです。
【テロメア長は老化度のものさし】
テロメアは、染色体の末端部分を保護することにより、大切な遺伝情報を保存していますが、DNAは複製メカニズムの問題により末端部分が複製されないため、細胞が分裂を繰り返す度にテロメアは少しずつ短くなってしまいます。テロメアが限界まで短くなると、細胞は分裂しにくくなることがわかっており、このことは老化関連疾患とも関わりがあると考えられています。
年齢を重ね、細胞が分裂を繰り返した個体では、テロメアが短縮した細胞が多いため、テロメア長は老化度のものさしの1つとして見なされています。
【テロメア長を維持するには】
テロメア短縮は加齢(細胞分裂の繰り返し)が原因であるだけでなく、生活習慣も影響することが知られています。
肥満、運動不足、ストレス、喫煙などを原因として、テロメア短縮の速度は上昇することが報告されています。
つまり、これらの生活習慣は老化度を促進する要因になっていることを意味しています。そのため、生活習慣を見直し、バランスの良い食事、適度な運動、質の良い睡眠、ストレスのケアなどを意識することにより、テロメア長を維持できる可能性があります。
【NMNの摂取がテロメアを伸長させる?】
細胞が分裂を繰り返すとテロメアは短縮すると説明しましたが、細胞にはテロメラーゼという装置によって、テロメアを伸長する機能も備わっています。そして、テロメアの伸長効果を期待できる取り組みの1つとして、NMNの摂取があることを、ヒト、マウスを対象とした研究の成果として報告した事例があります。
ヒトを対象とした試験では、45~60歳の被験者が1日あたり300 mgのNMNを90日間、朝食後に摂取しました。その結果、30日後にはNMN摂取前よりテロメア長が長い傾向が見られ、90日後のテロメア長はNMN摂取前より有意に長くなっていました。
この報告はNMN摂取がテロメアを伸長させる可能性を示しています。
【テロメア長を測るには】
では、どうすればテロメア長を測定できるのでしょうか?
弊社は東京銀座ウェルネス&エイジングクリニックとの連携により研究を推し進めています。その成果として、テロメア長を測定する手法を確立しました(プレスリリース)。
このようなテロメア長の測定検査を受け付けているクリニックを受診し、採血による検査を依頼するのが一般的な方法です。
一方、弊社は来院による時間の制約や採血時の痛みも無く、テロメア長を測定できるキット「染色体老化解析キット<テロメアチェック>」を開発しました。このテロメアチェックは、唾液を採取して郵送するだけでテロメア長の測定が可能な利便性の高い商品です。
弊社は、これまでも健康度郵送解析シリーズMiRMes(ミルメス): Mirailab Remote Medical Check Seriesを販売してまいりました。このたび発売したテロメアチェックは、「ミトコンドリア量測定キット<エナジーチェック>」、「AI疾病予測キット<リスクチェック>」に続く弊社のMiRMes第3弾となります(販売サイト)。
皆様、唾液を採取して郵送するだけの簡便な検査ですので、ご自身、ご家族のテロメア長を測定してみるのはいかがでしょうか?
NMNサプリメントの摂取、生活習慣の変化によるテロメア長への影響を調べてみるのもお勧めです。
参考文献
※1:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/22661914/
※2:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/21102320/
※3:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34912838/